CARNIVAL

コンプ済み。
一つの時間軸を複数の視点で描くストーリー形式
視点ごとに章仕立てになっていて、プレーヤーは段々と状況を掴んで行く。
乖離性同一障害の主人公と、その周りの人たちのお話。
シナリオのボリュームは少なめ、序盤のテキストはアクが強い。
さよならを教えて」のような「気持ち悪い主観」が好きな人は楽しめる。
視点の違いによるキャラからキャラへの印象の差は
主観で描かれるからこそ起こる、客観性の欠落による事実の認識の差異が演出されており
まさに一つの事象を複数の視点から眺める事ができる。
ただ、上記にあるように、シナリオの尺が短いため、キャラの掘り下げが浅く、描写も薄いため
憶測による補完がなければ、かなり薄っぺらい印象を受ける作品に成り果てる。


ゲーム中の一つのシーンで。
家族に疎まれている再婚相手の連れ子の義妹に愛情を注ぐ詠美の「愛情を受けずに育った子が、
その後どれだけ多くの時間をそれによって悩まされるか、解るでしょう?」
ていうような感じの台詞を、主人公への虐待を始めた張本人たる詠美が言う事の意味。
詠美の事はよく知らないけど、主人公の親から虐待を受けて育った境遇を知る理紗
視点は理紗だけど、この台詞をどう受け取ったかについては描写されない。
詠美は、主人公にある種の同属嫌悪を抱いていたのかもしれない
詠美自身が愛情を受けずに育った事を起因とする苦悩を抱えていたのかもしれないし
義妹と主人公を見て、義妹がこうなったら嫌だな、と考えていたのかもしれない。
詠美視点は無いんで解らないですが。
理紗は詠美を軽蔑したのか?同情したのか?
別のシーンで、理紗は親友の泉を巻き込まないように主人公に断り無く逃がした。
だが、詠美については、主人公の命令通り、捕縛し軟禁したままで
詠美への虐待を行っている事も知っている。
この差から、理紗は、詠美を快く思っていない事が伺える。
理紗の立ち位置と持ちうる情報では、詠美の「愛情を受けて〜」の台詞は
なんとも皮肉な響きになっていたと思う。


てな感じで、考える要素は多い。